約束して
約束をしよう。それはとても――――――。
「愛している。」
たった六文字に、ありったけの想いを込めてラビはミランダに想いを告げた。
他に何か言い方はないのか、とありとあらゆる知識を総動員して、考えに考え抜いた
結果、残った言葉はこれしかなかったのだ。
あまりにも有り触れた、しかしこれ以上にわかりやすい言葉もなく…。
目の前に佇むミランダはラビの言葉を聞いて微笑んだ。花が綻ぶかのような肯定の笑み。
けれど、手放しには喜べない二人の恋。恋の成就に翳りをもたらす現実を、少しでも
和らげるかのように、ラビはそっとミランダの手を握った。
「お願いがあるんさ、ミランダ。」
「なぁに?」
指先から伝わる温もりにすら愛が溢れているようで、こそばゆくも嬉しくて仕方がなく、
ミランダもそっとラビの手を握りかえした。私も同じ想いなのよ、と告げるように。
「ミランダのこの先の人生、全部オレにちょうだい。」
ラビの申し出にミランダは軽く目を見張って驚いた。どういう意味だろう、と。
そんなミランダの様子を見抜いてラビは簡単に説明した。
いずれ自分はブックマンとしての使命の為に教団を去らねばならない。けれど、
だからといってそれでミランダとの関係を終わらせたくないのだ。
千年伯爵との戦いに決着がつけば、教団はイノセンスの適合者であるエクソシストを
残しておく必要がなくなるのだ。
「全部決着がついて、ミランダが自由になったらオレが迎えに行く。だからミランダは
それまで生き抜いてオレのことを待ってて。絶対に死なないで待ってて。」
ああ、なんて勝手な、とミランダは思う。けれど、それ以上に歓喜がミランダの心を襲った。
世界を救うという崇高な志よりも、たった一人の為に生き抜けという傲慢な願い。
自分が戦い生き抜くのは、世界を守るためではなく、愛する人との約束を守るため。
神をも恐れぬ罪ではないだろうか。でもその罪に抗う術は、ない。
「ラビくん…。」
「約束して、ミランダ。」
「わかった…わ。私、生き抜いて、ラビくんのこと、待ってるわね。ずっと…。」
だって、私の人生はラビくんのものだから。そう言ってミランダはラビの指にそっと唇を
落とす。その指がミランダの顎を捉え、ラビの唇がミランダの唇にそっと重なった。
「愛してる、ミランダ。」
「…私、もよ。」
約束をしよう。それは、とても儚いものかもしれないけれど。
それでも、共にある為に交わそう。心の願いである約束を――――――。
<終わり>
君はオレのもの。だからオレの為だけに生きて。お願いだから。