いつかきっと君と
この青空の下で、今も祈っている―――――。
”嘘でもいいから、好きだと言って欲しい。”
彼はそう言った。けれどミランダはそれを最後まで言うことはなかった。
ミランダのラビに対する想いは嘘なんかではない。正真正銘彼を愛している。
けれど、終ぞミランダはそれを口にすることはなかったのだ。
何も其処まで、と思うほどミランダはラビの想いを拒んで拒んで拒み通した。
いずれ去ってしまうのならば、何一つ自分に残してくれないならば、だったら
何もいらない、とミランダは思ったのだ。そう、思い出さえ。
この手に何も残らなければ傷は浅くすむ。深い傷など、負いたくないのだ。
だからラビが少しでも自分を想ってくれているのならば、お願いだから放っておいて
と頼んだのだ。優しささえも不要だと。
そして自分は彼の小さな我が侭さえ拒絶してしまったのだ。あの頃は、少しでも傷が
浅くすむように、と自分のことばかり優先していて、旅立つ彼の心などこれっぽっちも
考えなかった。年月が経った今、なんて薄情な女だろう、と苦い思いが胸を貫く。
どこまでも自分自分、と自分のことばかりで何故相手のことを思いやれなかったのか、と
今さらながらに悔やんでしまう。全ては過ぎ去ってしまったことなのに。
謝ったのは数え切れないほどで、傷つけてばかりだった彼のことを今でも想う。
残される自分の方が辛いなどと思ってごめんなさい、と。立ち去るラビだって辛くないわけが
ないというのに。それなのに自分ばかりが辛いと子供じみた考えを信じていたあの頃の自分を
腹立たしく思う。なんて愚かなのか、と。
どんなに後悔しても時が戻ることはなく。まして修正できるわけでもなく。
すれ違った日々を悔やんだまま時間が過ぎてゆくだけ。
そして、過去に傷つき心を立ち止まらせた自分とは違い、彼は彼の目的の為に
真っ直ぐに歩いていることを心から願う。
切に。
ひたすらに。
それだけを、ずっと。
この青空の下で、今も祈っている――――。
<終わり>
それでも貴方を愛している。